俺は、天真爛漫なあのコに流されている


「いや、偶然じゃないんだ」

「え、偶然じゃないって?」

「実は俺……湯川から盗み聞きした」

「へ? えーやだぁ、何それー」


 湯川は『そんな冗談を』って感じで少し笑った。


「ショコラが捨てられて3日目だったかな。湯川が雨の中、アイツに牛乳あげてるのを見てたんだ。その時に『ショコラ』がいいって言ってたのを聞いて……それで……」

「うそ。猪瀬が? あの時いたんだ……」

「ごめん。いくらなんでも気持ち悪いよな、こんなの」

「そんなことないよ!」

「え?」


 湯川の反応は、気持ち悪がってる感じではなかった。


「確かに普通だったら気持ち悪いと思うけど……好きな人だったら、全然……」

「湯川……」


 こんな俺のことを、変わらず好きな人扱いしてくれてる……。

 やば。それって、かなり嬉しい。

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