俺は、天真爛漫なあのコに流されている
*
――湯川とのデートも、今日で五回目。
一通り出掛けた後、俺は家からショコラを連れ出して、湯川と近くの公園へ行った。
「ショコラ、久しぶりだねー」
ベンチに並んで座ると、湯川はショコラとじゃれ始めた。
ショコラも嬉しそうに、もう一人の飼い主にゴロゴロと甘えていた。
そんな一人と一匹の様子を、俺はジッと見つめながら――
ある事ばかりを考えていた。
それは……
いい加減そろそろ、
キスしたいんだけど。
俺は今まで何回か、湯川とキスしようとした。
けど、その度に――
湯川は恥ずかしさから真っ赤にしてプルプル震え、
俺もそれを目の当たりにしたらドキドキしてしまい、キスしづらくなりで、
結局出来ないまま今に至るという。
今日だってずっと一緒にいたのに、タイミングも掴めないまま実行出来ていなかった。
今までの人生の中で、こんなことで悩む事なんてなかったのに……
本当に湯川とつき合ってから、俺はガラにもないことばかりしている。
俺は隣から視線を外し、遠くを見るように前を向いた。
はぁ。さて……どうしたものか……。