俺は、天真爛漫なあのコに流されている


「――あはっ。やだショコラったら、くすぐったーい」

「……ん?」


 湯川のハシャぐ声が更に高くなった。


 隣に視線を戻すと――

 ショコラが、湯川の口元をペロペロ舐めていた。


 コイツ……俺よりも先に、湯川とキスしやがって。


 なんて、猫に対して……しかもメスであるショコラに、本気の嫉妬をしてしまった。


「ショコラ。お前甘えすぎだぞ」

「あははっ。いいのいいの。ショコラってば可愛いんだからー」


 そう言って嬉しそうにする湯川。


 ショコラなら、スムーズに受け入れるんだ。

 俺は、ますます嫉妬した。


 …………こうなったら、


「なぁ。湯川」

「なぁに? 猪瀬」



「俺も……ショコラと同じことしてもいい?」



「え? 同じことって何を――」


 最後まで言い終わるのを待たずに、俺は素早く湯川の肩を抱き寄せると、


 そのまますぐに――唇を重ねた。


 ……湯川……。


 お互いの柔らかい部分が合わさった途端……胸の奥がギュッとして苦しくなった。


 俺は、目をつむってるからわからないけど、

 湯川が停止したのは感じ取れた。


 そして……ショコラも気を利かしてるのか、

 俺と湯川の間で大人しくゴロゴロとしているのもわかった。


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