俺は、天真爛漫なあのコに流されている
「ーーーーっ、やだもうっ!」
「っ、いって!」
腕にバシッと強めの衝撃が。
湯川が空いてる手で、手を繋いでいる方の俺の腕を叩いてきた。
「猪瀬ってば、いきなりなんだからっ!」
急に湯川のテンションが、いつもの天真爛漫な感じになってきた。
「いきなりしないと……出来そうになかったから」
「っ、もーうどうしてくれんのぉっ!? 私もう……キュンキュンしっぱなしだよーっ!」
湯川、口調は怒ってる風だけど……
これは、ウケてると捉えていいんだよな?
人生で初のキス……スベらなくて良かった。
はぁーあ……今の俺、絶対ガラにもなく――
顔が真っ赤だと思う。
冷めるまで、なるべく顔を合わさないようにしないと。
そんな俺をフォローするように、ショコラは「ニャーン、ニャーン……」と、ひたすら鳴き続けてくれていた。
―終わり―