世界の嘲笑にアルカイックスマイルを
ここの学校は科学の教師が結構多いから、俺が1日にある授業は多くても2、3時間。少ない日は1時間。
だから、空き時間に例の所で休憩と喫煙をしているのだけれど。
それは授業中だからで、生徒も教師もいない時間だから、そのはずなのに何故かいつも彼女はいる。
しかも
『副流煙吸うから中入ってろよ』
彼女がいるし火災報知器がなる恐れがあるからとわざわざベランダに出て吸っているのに、寝転がっていたソファから起き上がって彼女も出てくる。
「やぁだ」
そしていつも腰に腕を回してくっついてくる。
「わたしが心配なら吸うのやめればいい」
『俺のこと殺す気、』
「煙草の方が身体に悪いって」
流石に大人としてずっと副流煙を吸わせるわけにはいかないから、仕方なく吸い始めたばかりの煙草の火をもみ消して、中に入りソファに腰を沈めれば、彼女は何故か足の間に座ってくる。
『ひとりで座れよ』
「冷たいこと言わないでよ」
振り向いて来た彼女はさりげなくキスしてくる。
そっと食むように応えて、離れれば不服そうに体重をかけてくる。
振り向いたときに身体の向きも変え、俺を跨いでいる。
『あのなー、こういうことするなって』
「なに、こういう事って?」
『キス』
「なんで」
右頬を膨らませ、眉間に皺を作り、視線を鋭くさせる。
其が彼女の不満不機嫌のサイン。
はあー、深いため息を落とせばますますきつくなる視線。
『ここは学校。俺は教師、おまえは生徒』
「ふーん、じゃあ学校じゃなきゃいいんだ?キスじゃなきゃいいんだ?」
視線が和らいでニヒルな笑みと共に身動きした彼女に、嫌な予感しかしない。