世界の嘲笑にアルカイックスマイルを
『まて、』
「しーらないっ」
するりと抜き取られたネクタイ。
手際よくボタンが3つ開けられる、
「せんせが言ったんだよ?」
鎖骨の辺りをさらりと撫でられ、彼女は呟く。
「もうすぐ、消えちゃいそうだね。
せんせ、覚えてる?」
『……なんだっけ』
嘘、はっきり覚えている。
たった4日前のこと、しかもあれほどインパクトの強いこと、早々忘れることなんてできない。
「忘れちゃったんだ?じゃあ今からわたしが言う言葉復唱してくださーい」
にっこり、純粋無垢そうな笑みで彼女は笑う。
『は、』
「後悔した、ものすごく」
『……それって、』
「言えばご褒美あげるよせんせ」
なんですっかり俺が下なんだよ。
それってつまり、でも
『言わねえ』
「なーんで」
『……肯定、になるだろ』
「じゃあやっぱり後悔してるんだ」
『……』
「嘘つき」
視界の片隅にいる彼女はすごく泣きそうな、それでいて笑おうとして失敗して怒ろうとしたような、感情がごちゃ混ぜの表情をしていた