世界の嘲笑にアルカイックスマイルを
love philter
授業終了のチャイムが鳴り、生徒がざわめく。
『じゃあ、ここまで』
HR長の号令で、生徒が一斉に立ち頭を下げ、部活に行くやつ、バイトに行くやつ、帰るやつに、おしゃべりに興じるやつ、各々が其々の放課後を満喫し始める。
「せんせー」
若干タイミングを損ねたらしく、女子が話しかけてきた。
勉強に対する質問なんてせず、よくまあ話題がつきないなと思うほどに噂話をする。
「せんせー彼女できたー?」
「はい!立候補するー」
「あんた彼氏いたでしょ」
「別れたよ、この前」
「早くない?1週間ぐらいじゃん」
「なーんか思ってたのと違った。超めんどい」
「飽きっぽいなー相変わらず」
女子高生のマシンガントークに適当に相槌をうって、ようやく解放された頃には時計の針は100度ほど進んでいた。
これから駅に行くとすると、日程を頭の中で組み立て、足早に職員室を経由して車へ。
助手席に鞄を投げ入れ運転席へ回ると、足元に蹲っている女子高生がひとり。
顔も見えず、髪しか分からないのに誰だかわかってしまう俺は大分キテいる。
そのうえ、緩む口元を押さえられないのだから、これから大概にしなければ。
『……かん、ざき。神崎』
そっと揺り動かせば、ゆっくり顔が上がり、億劫そうに瞳が開かれた。