世界の嘲笑にアルカイックスマイルを
人間逃げるものは追いたくなるらしく、
そしてたぶん、彼女は最後の理性のストッパーを外してくれたらしく、ぐいっと強引に引き寄せ唇を重ねた。
唇を味わうように食んで舌を絡める、
まるで酸素を求める魚のように
死にかけの奴が水を与えられたときのように、貪り堪能する。
甘い声がもれるほど本能が素直に顔を出してきて、負けたなと思いつつ、彼女の白くて細い首筋に唇を寄せた。
「ん、せん、せ」
息が上がって頬を桃色に染めて瞳を潤ませつつ、唇を舐めるその様は、押し倒さなかったのが不思議なくらいで。
いつの間にか脚を伸ばして地面に座る俺の腰骨を跨ぐように座っていた彼女のスカートはただでさえ短いのに、脚を開いているから更に白い綺麗な脚を惜し気もなく晒していて。
そこを俺の片手が、彼女の頭を押さえてたのとは別の手が這っていた。
一瞬にして、現実に引き戻したのは予鈴。
「あ。あーあ鳴っちゃった」
こてんと体の力を抜いて俺にもたれ掛かってきた彼女は確信犯か素か。
「せんせ、もう時間なんだよね?」
『まあ、入学式始まるしな』
「ん、どける」
ゆっくり彼女は立ち上がったもののすぐに壁に寄りかかって、
「せんせ、力、入んない」
ふにゃっと困ったように笑った。
これが確信犯ならとんでもない小悪魔だ。
それに引っ掛かる俺も大概の馬鹿だ。