世界の嘲笑にアルカイックスマイルを
彼女の背中と膝裏に手をまわし持ち上げ、手近な椅子に座らせる。
『悪い、』
何が、とは言わないけれど。
「ほんとほんと、せんせのばか」
弱ってる人間てどうしてこうも掻き立てられるのだろう。
いつも強気な彼女の場合それに加えて妙な支配欲というか嗜虐心も沸き起こってくる。
時間はないのに、つい手を伸ばして彼女の頭を撫でた。
彼女は猫のように目を細め大人しく撫でられている。
髪に触れる程度のキスを幾度か落として、戻って来た理性で彼女の顔を覗き込み問う。
『保健室行くか?』
「せんせ、行って何て説明するの?
キスして酸素足りなくなりましたって?」
よく考えれば具合の悪い生徒を運んできたってたいして突っ込まれないはずなのに世間に対する疚しさからか、その言葉に表情を固まらせ口ごもる。
そんな俺に彼女は悪戯に笑った。