【続】興味があるなら恋をしよう
帰って少し寛いでから、お風呂に入った。
課長は少し仕事をするからというので、今日は一人だ。

お風呂上がり、ベランダに出て涼んだ。
…気持ちいい。
自然の涼しさっていいな。

…今夜も……。
一人になるのだろうか。

最初は気が付かなかった。
私より先に課長が起きているだけだと思っていた。

以前は、起きていても…私が呼びに来る迄、ベッドの中にいたいと言っていたのに。

明け方近くふと目が覚めた時だった。
居るはずの課長がいなかった。
初めはトイレかなと思った。

でもそうじゃなかった。
中々戻らない課長は、ソファーに居た。

ちょっとお水を飲んで座っているというのとは違った。
軽い肌布団を掛け、横になっていた。


か…、声を掛けようとして止めた。
きっと起きている。
そんな、気、のようなモノを感じた。

…いつも、こうしているんだ。


ベッドに戻り、まだ繋がりきらない頭で考えた。
私を腕に抱き、眠ったのを確認して、いなくなってるんだ。
そして、そう思わせないよう、朝になると私よりも早く着替えは済ませている。
ただ早く起きただけだと思わせる為。


今夜もきっと…。
明日が休みでも、何も、無いと思う。

…私の身体の為?

最初の二、三日、何もしないのは、多分そうだろうと思った。労ってくれているのだと。

でも、ずっと、こんな感じ…。

…妊娠騒動で、何か、もう、関係性が駄目になってしまったのかな…。
だとしたら、それは自業自得なんだけれど…。


「…紬」

「あ、課長…」

「フ。匠だって」

「はい、…匠さん」

「ん。いい風だ。気持ちいい。…いい香りだ」

「はい。あ……は、い」

「仕事、終わったよ。風呂に入ってくる」

「はい」

愛想をつかされた訳ではないのかな…。
後ろから抱きしめられたから。
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