【続】興味があるなら恋をしよう
何故、別々に寝るのですか、なんて、聞けない。
そうしたい理由は課長にあるから…。

私、自分勝手過ぎる。
寂しいからって…甘えている。
…あんなにいつも愛されていたから。

私の身体を思ってしないでいてくれている。
だから、一緒に寝ても抱きしめるだけなんだと思っていた。

だけど、一緒に寝てもくれなくなったなんて…。
我が儘だけど…寂しい…。

特に、明日は休みなんだからと思うと、今夜も別々なら、本当に嫌われたんだと思う。

私…。

あ、課長、お風呂から上がったみたい。

私と同じようにベランダで涼んでいるようだ。
しばらくはこっちに来ないのは確か。

もう、眠っている振りでいた方がいいかな。
私が眠っているって解ったら、課長はそのままソファーに行ってしまうだろう。


あ、来た。
顔の凄く近くに気配を感じた。
きっと覗き込んで見てるんだ。

布団の中に入って来た。
課長?
抱きしめられた。
え?

「たぬき」

え?

「顔に力が入り過ぎだ。…下手くそだな」

ギュッと抱き込められた。

「まだベランダに居るのかと思ったのに、居ない。
…そそっかしくて、風に吹かれてフラッと落ちたんじゃないかと思って。
…暗いのに、身を乗り出して見た。
俺が落ちそうになった」

うっそ…。

「課長ー!大丈夫?…ぁ」

「…ほら、やっぱり、たぬきだ」

顔を上げたら、待ってたように見られていた。

「何の企みか知らないけど、…眠れないのか?」

…。

「大丈夫です!寝ます!」

「は?寝ると言って寝られるのか…。凄いな…」

何だか、妙な雰囲気にしてしまった。

「じゃあ、寝て貰おうかな」

こうなったら、寝ない!
寝なかったら課長はずっと居るはず。

…だけど…温かくて……気持ちいい。
駄目だ…安心するように、堕ちてしまった。


「寝たか…早いな。紬は…面白いな…」

紬、何がしたかったは何となく解った。
紬が眠ったら俺が居なくなる。
その確認の為だろ?

ソッとベッドから抜け出し、リビングに行った。
いつものように薄い布団を持って。
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