【続】興味があるなら恋をしよう
「は、い」

何だろう。


「ブラックでいいか?なんなら濃いめにするか?」

「あ、え?」

「はぁ。冷たいのにするか?」

「あー、はい」

「じゃあ、…ほい」

「有難うございます」

「あのさー、…欠伸してんじゃないよ。…全く。溜め息もだけど」

「…あ、すみません」

「全く…。倒れたりすんなよ?」

「え゙!……大丈夫、で、す」

周りを見て、ちょいちょいと、もう少し近付くような仕草をする。

「は、い?私?」

「…藍原しか居ないだろうが。
あのさー俺さー…、まだ内緒だけど、課長になるから。
いいか?まだ内緒だぞ?藍原にしか言わない。
正式な辞令は来月になると思うけど」

…やっぱり。

「内緒だぞ?
誰かに知られたら、藍原が犯人だからな。
誰にも言うなよ?」

「あ、もう。坂本さんこそ、今、私に言ってるじゃないですか」

「だから、藍原だけだって言ってるだろ?」

「…はい」

「ずっと、一緒だ」

「え」

「これからは外に出る事はほぼ無い。
だから、ず〜っと一緒のフロアに居る」

「そうですね」

「藍原の書類、俺が見るんだぞ?
ミスが無くても、全部、却下とか言って、突き返す事も出来る」

残業、一緒に出来るな。

「それは困ります」

一緒に残業する事になってしまう。

「まあ、そんな事はしないけどな」

「当たり前です!
ミスの無いものは、作り直しようが無いじゃないですか」

「…安心して倒れていいぞ」

「え?」

「…貧血だろうと、目眩だろうと、…何だろうと、俺が居るから大丈夫だ。全部俺が受け止める」

…原因を解って言ってるでしょ?
…。もう、この人は…。

「では、お願いします。心置きなく、倒れますから」

「フ。……だけど、それは…複雑だな」

何を今更…。坂本さんが言った事じゃないですか。

「大丈夫です。恥ずかしいから、そうそう倒れませんから」

「……そっか。なあ、藍原…」

「坂本さ〜ん。…あ、居た居た。
坂本さん、ちょっと教えて欲しい事があって」

…。

「…はぁ、悪い。じゃあ、また、な」

「はい、あ、ご馳走様でした」

「おう」

何を話そうとしていたのかしら。
ここはいつも…話が続けられない場所ね…。


「紬」

「あ、課長」
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