【続】興味があるなら恋をしよう
今更ながら、藍原に言っておきたかった。
検査結果が妊娠してなかったと解ったから言うんじゃない。
俺の子が出来ていたなら、言いたい事だった。

あの日、藍原を帰す時に言っておきたかった事だ。
今日した事で妊娠したら、俺は親になるって。
課長がそれをさせないだろうと思うが、それならそれで、俺なりの関わり方で親になろうと思った。

あんな時、…じゃあ、ちょっと待ってって、冷静にコンドームをつけてしたりはしないだろう。持ち合わせてもいなかった。

当然…そのままだ。
だから、責任は俺にある。

出来ていたとして、決して無責任な結果の子ではない。
気持ちと行為が矛盾していると思うかも知れないが、あの時はそういうものだと思う。

さっき言いかけたのは、それを直接話しておきたかったからだ。
メールでは無理だ。

場所としては良くない事は解っていた。いつ、誰が現れるか解らない会社だ。
だけど、二人で会う事なんてまず無いし、そんな事も出来ない。
この時間、誰もいなかった。

人が来る方向にさえ気をつけていれば、誰かに聞かれる事もなかった。

…ただ好きなだけの男だと、責任の取れない男だと、藍原に思わせたくなかった。
親になるなら、そんな男では駄目だ。

妊娠していても大丈夫だ、俺が居ると、ちゃんと気持ちが伝わるように、話したかったんだ。
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