【続】興味があるなら恋をしよう
「来週、水曜から三日間出張になった」

「はい」

「今城部長の挨拶回りに同行する事になったから」

「はい」

「何も無いとは思うが、通勤の行き帰り、充分注意する事、戸締まりをちゃんとする事。
特にベランダ側の施錠を忘れないように、いいか?
開けたまま寝たりするんじゃないぞ?
それから、目立つところに洗濯物を干したりするんじゃないぞ?下着なんかは特にだ。絶対駄目だ。
それから、電車では痴漢に遭わないように、なるべく女性に囲まれるように乗るんだぞ?
それから…」

「課長、大丈夫です。
全部、何もかもあげていたら、きりが無いですよ?
そそっかしくても、いつもより充分気をつけますから、大丈夫です。
課長こそ、行き帰りは気をつけてください」

「ん、解ってる。だけど心配なんだ。
いつも一緒なのに、三日も一緒じゃないなんて」

…もう…まさか、また、その分も、シとかなくちゃとか言うんじゃないでしょうね。

「紬」

ほら、きた?

「は、い?」

「帰ったら…週末だから寝かさないぞ」

…先じゃなくて、後ですね…。それでも、程々にお願いします…。

「帰りは早いのですか?」

「ああ、会社に寄る。報告を済ませておくから」

「そうなんですね」

「一緒に帰れるかも知れないが、ん〜、解らないな」

「私が先になったら、ご飯作って待ってますから」

「ん。紬…」

頬に手を当て唇が触れた。
顔を見られた。
目を見つめながら髪を梳かれた。
少し表情に憂いがある気がした。

「…寂しいです…三日もこうして触れられないなんて…」

「紬…」

ん!?…。

顎をグイッとあげられ、唇を塞がれた。
息も苦しくなる程、深く深く口づけられた。
止まらない。
課長の唇が身体に触れていく度、思いがそこから伝わってきた。

身体を重ね、きつく抱きしめられた。………課長。

「どれだけ一緒に居たって足りない…こうしていても、…足りない…」

…課長。

「俺にとって…紬は特別な女なんだ。ずっとだ。
何があっても、変わらない。いいな?ずっとだ」

…課長。
抱きしめた。

「ん?もっとか?」

…シリアスなのか、どっちなのか。でも、これも、課長的には大真面目なのよね。

「…はい」

もっと抱きしめて欲しいから、コクンと胸で頷いて抱きしめた。
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