【続】興味があるなら恋をしよう
×2
「坂本、終わりそうか?」

「あ、はい。そうですね、…ぼちぼちでしょうか」

「なら、待ち合わせるまでも無い。
一緒に出よう、待ってるから」

「いや…部長を待たせるなんて。
すぐ追い掛けますから先に出てください」

「どこで待っても、待つのは同じだ」

「はい、それはそうですが」

お酒好きなら先に飲んでてくださいって、言えるんだけど、部長はそうでもないしな…。

「俺と坂本の仲だろ?遠慮するな。待つよ。
終わったら声を掛けてくれ」

…。

「はい。なるべく急ぎます」

俺と、の仲、ね。わざと言ってるよな…。
俺と藍原の仲はいいとして、部長とは、そんな仲にはなりたくないな。
中々キツイ仲だ、遠慮したい。


「すみません、お待たせしました」

「ん、じゃあ行こう」



「先に入って飲んでてくれ。車を置いてすぐ戻る」

バーの近くで降ろされた。

はぁ。
…話は、…色々だな。


「今晩は」

「いらっしゃいませ」

「レッドアイを」

「畏まりました」

…本当に飲んでていいのか?
こんな態度の部下でいいのかな…。

「…どうぞ。今夜もこの前の方とですか?」

「え?はい」

…よく解るもんだな。

「女性との待ち合わせだと…また、違ったお顔つきになりますから…」

…なるほど。
薄暗くても、動作や顔に、どんな相手と待ち合わせているか無意識に現れて、解るもんなんだな。
確かに好きな女性を待つ表情とは、今の俺は真逆だろう。

「いらっしゃいませ」

「今晩は。この間はどうも。
すみません、俺も同じ物で、アルコール抜きで」

「畏まりました」

「温くなるぞ?飲んでろって言ったのに」

「あ、いや、そんなに待ってないですから」


「…どうぞ」


年配のマスターは少し離れた位置に立ち、グラスを拭き始めた。
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