【続】興味があるなら恋をしよう
「さあどうぞ…。遠慮は要らない。あ、遠慮はしないよな?元々入り慣れた部屋だもんな。
相変わらずだ。箱もまだ積み上げたままだ」
本当だ。まだそのまま。でも…。
「まあ、ご飯食べればいいじゃん。腹が減っては、眠れないぞ?」
それはそうだけど。
何故こんな行動を?
大友さんから離してくれたのは助かったけれど。
「携帯は?連絡、何か来てる?」
「あ、えっと…いいえ、何も」
課長…。
「…ん〜。いきなり来るかも知れないな。覚悟しとけよ?」
「え、え?どうして、そんな、…覚悟?」
「ああ。この状況は、どう見てもよろしく無いだろ?…課長の彼女をさらって来てるんだから」
「さらうって…。でも、メールもしたじゃないですか。帰ってるって」
「文脈、事実を準えたら、掻っ攫った事と同じだ」
「そんな…大袈裟な…」
「冷静な課長だから、来ないかも知れない。だけど、藍原の事考えたら、冷静ではいられないと思うよ?
どうするかな、課長」
坂本さん…。このままでは坂本さんが…。
「私、自分の部屋に戻ります」
……。
「はぁ……そうか。短い逃避行だったな。あ、これ、持って行けよ」
コンビニの袋ごと渡された。
「あ…でも、こんなに」
一人では到底食べ切れない程ある。
「んじゃ、おやすみ。今日は有難う」
あ。背中を押されて廊下で向きを変えられた。
これは…無事に部屋まで送り届けられたと同じ事。
何も無い自分の部屋に戻った。