【続】興味があるなら恋をしよう


「坂本課長、ちょっといいか?」

「はい」

部長室に呼ばれた。

「掛けてくれ」

「はい」

「はぁ、坂本。聞いてないぞ?
俺はあの日、紬が熱を出したけど、その日のうちに下がって治ったとしか、聞いてない」

「部長がまだ課長の時の話ですか?」

「…その日以外に、まだあるのか?」

「…………いいえ?」

「あー、変な間を作るな。話の論点が擦れる。質問に質問で返すな」

「お言葉ですが、質問に質問で返すのは奥さんの得意技かと」

「あー、もう…更に論点が擦れる。話を面白くするんじゃない」

「メールで報告した事でほぼ合っていると思いますが」

「いや、一緒にご飯を食べて、泊まっただろ?」

「はい」

…。

「あの時の部長は様子を気にかけてやって欲しいとメールで」

「ああ」

「ですから、気にかけた結果です」

「行けとは言っていない」

「それでは様子は解りません。会って見ないと。
メールで大丈夫だと言われても、無理をしているのかも知れません。
実際、大丈夫だと言って、ご飯も食べていませんでしたから。
…行ってはいけないとは、言われてませんでしたよ?」

…。

「…泊まったのは?」

「はい。熱というのは日中下がっても、夜、振り返す事がよくあります。
そんな時、一人では辛いものです。
だから、様子を見る為、泊まりました」

「…流暢だな」

…泊まるなとも言ってない、からな。
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