【続】興味があるなら恋をしよう
「事実を言っているまでです。淀む必要がありません」

「それで、朝まで」

「はい。朝まで熱は上がりませんでした」

「それで」

「一緒に電車で通勤しました」

「はぁ。…違う。俺が聞きたいのは、それで朝まで何も無かったのかと聞いている」

「部長」

「なんだ」

「部長は奥様が信じられないのですか?
俺に言わせないで貰えますか?
…金曜に帰られた部長が、奥様の事、一番よく解っているんじゃないですか?
何も、…ありませんでしたよ。
身体に“熱”なんか無かったでしょ?」

…。

「本当だな?」

「何もありません」

「…解った。紬も紬だが、坂本も坂本だ」

「え」

「紬は、自分がこんな事で連絡をして、余計な心配を掛けてはいけないからしなかったと言う。
その時の事を聞いたら、同じだった。
坂本の言った事とほぼ同じ事を言った。
表現に違いはあってもな。
紬は、私が直ぐメールの返事を返せなかったから、坂本に迷惑を掛けてしまったと言った。
俺は紬には、何も無かったか、とは聞いていない。
それは紬は隠せないからだ。だから、聞かない。
だから、坂本に聞いたんだ」

…ちょっとだけ、隠せなかった部分があったのか、紬。
だから部長は、俺に探りを。

身体に異変は無くても、何かはあっただろうと。
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