【続】興味があるなら恋をしよう
ブー、ブー…。
「葵だ」
紬に聞こえるように呟いた。
【匠〜、里緒がパパに会いたいって言ってるの。休みで時間ある時ある?無理?】
【時間、無いことはないけど。そっちに行った方がいいのか?】
【出来たら連れ出して欲しい(笑)たまには一人になりた〜い。正確には二人か(笑)】
全く…。安定して来たのはいいけど…。ずっと二人でってのは正直、中々しんどいよな。息抜きも必要だ。
本当に里緒が会いたいって言ってるんだかどうだか…。里緒を利用してるんだろう。
葵は上手く言うからな。
【俺が里緒を迎えに行くよ。そうだな…。葵は土曜と日曜どっちがいいんだ?】
【どっちも】
は?
【それ、どっちでも、の間違いだろ?】
【バレたか】
…あわよくば泊りで二日って企んでたな。
【で、どっちでもいいのか?】
【任せる】
【また連絡入れる。あんまり長い時間は無理だ。2、3時間だぞ】
【え〜。冷たくない?前はずっと居たじゃない】
【比べるな。完全に預かって生活するのは長くて当たり前だろ。遊ぶ為に預かるなら充分だろ?】
【解った~。連絡待ってる】
【了解】
……ふぅ。…。
「紬?里緒に会ってみるか?」
「え?」
りおって…課長の姪の、よね。
「あっちが恥ずかしがるかも知れないけど、今度の休みに2、3時間くらい、まあ、半日だな。預かる事になったんだ」
「は、い…」
「…嫌だったらいいぞ。俺が連れてどっかに行くから」
え?
「あ、嫌とか、そんな事はないです。ちょっと、思い出していたので」
「あぁ…」
「里緒ちゃんは何が好きですかね。お昼ご飯はオムライスとか、おやつはプリンとかで、大丈夫ですかね」
「うん、どっちも好きだ。じゃあ、ここで遊ばせてもいいか?」
「はい、勿論です。私なんかに確認は要らないですよ?」
…。
「じゃあ、昼前から預かって、夕方早めに送って行く事にするよ。…悪いな」
え?…悪いな、なんて。
「そんな事ないです」
他人行儀な事…。
「…DVDでも観るかな。そしたら、あっという間に時間も過ぎるし」
返事の仕方が変だったから…私があまり気が進まないと誤解されたみたい。…きっと、そんな風に見える表情もしてしまったのだろう。
それは、あの時のショックを思い出したからなのに…。