【続】興味があるなら恋をしよう

こんなに好きでいてくれている、大事に思われているんだ、そう改めて感じた。
首を傾げ優しく重ねられた唇は、少しずつゆっくりと食んで私を簡単に甘く蕩けさせた。
優しく食まれる度、身体の中がざわめき始めた。親指で唇をなぞり耳元で囁く。好きだ…。
その声に、掛かる息に、身体に痺れるような何かが走る。……はぁ、もう、力が抜けてしまう。耳を掠めた唇は、首筋に触れると、再び唇に触れ、食みながら侵食を深めていった。

「ん…これではまるで節操の無いエロ男だな。帰った途端がっついてる…」

唇を離し、苦笑いでそう言うと抱き込まれた。

「だけどこれは、そもそも藍原が煽るからだぞ?」

「…え」

顔を上げた。私が、いつ?

「挨拶に出掛ける前なのに、藍原がキスなんてして来るから…。俺も、もっとしたくなって、した…。あれは、余計、緊張の上塗りにもなったんだぞ?…それよりも。
それからは、ずっと…藍原の事、考えていた。…大事な挨拶に行くっていうのに…」

えー。…実家で挨拶している時もずっと?…その…って事?
…カァー。

「…早く……帰りたいと思っていた」

「えー!」

思わず声が出てしまった。では…、もしかして。
あの、車内で…、乗った途端少し身体を抱き寄せたり、ずっとギューッと手を握っていたのは?
あれは…ホッとしたとか、気にするなって、慰めてくれていたものだとばかり思っていたのに…。それも全くない事もないだろうけど、もしかしたら大半の意味は違っていたの?
…んんー、どちらにしても、課長の男としてのストレートな気持ちの現れに違いは無い。…私だって自分からしておいて、身体が落ち着かなくなったのは確かだったし。

「早く抱きたいと思っていた。澄ました顔をして親御さんの前で挨拶をしておきながら、失敬な奴だろ?」

カァー。もう、どれだけ顔が赤くなっているのか解らない。血が上る流れさえ感じてしまう。繰り返し、抱くという言葉を耳にする度、ドクドクする鼓動が突き抜けて出てきてしまいそうに高鳴った。

「あ…課長…」

課長がこんな…無邪気な人だとは思わなかった。無邪気?…こういうストレートなところ、本当に正直で憎めなくて、可愛らしい人なんだ。はぁ。

「理性がある内に運ぶよ?このままだと今にも押し倒してしまいそうだ。…説明してる時間も惜しいくらいだ…」

耳たぶの下辺り、首筋に唇が触れた。あ、駄目です…そこは弱いです。

「場所が変わるだけで、理性も節操も無いのに変わりないけどな?」
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