【続】興味があるなら恋をしよう
お昼はオムライスを作った。
元々今日は私達が里緒ちゃんと遊ぶ予定だったから、調理は三人でして、葵さんには寛いでいて貰う事にした。

「里緒、玉ねぎ切るか?」

課長が踏み台の上に立たせて、後ろに立った。
里緒ちゃんを預かっていた時も、こうやってお手伝いをさせていたんだと思った。
それが凄く自然だったから。
目、痛くないかって聞いてる。

卵を割り入れて、里緒ちゃんに混ぜる?って聞いてみた。

「パパ、いい?」

あぁ、なんて可愛い。
伺いを立てる傾げる様子も、興味津々な大きな瞳も。

「ああ、いいよ」

課長がボールを押さえて、カチャカチャ混ぜさせた。

「いいぞ。上手に出来た。よし、OKだ。おしまい」

「OKー。おしまーい」

そう言って手を洗って終わらせると、葵さんのところに戻っていった。
偉い偉いって抱きしめられている。

それにしても、課長のパパぶりはすっかり板に付いている。…子育て、上手かも。

「課長、本当のお父さんみたいですね?」

「フ。里緒が生まれた時からの付き合いだ。…パパだし」

「あ、どうして、私をママって」

「ん?パパのパートナーはママだろ?
だから、里緒が変に名前を呼び捨てにして呼んだりするより、その方がいいと思って。解りやすいし」

そういう意味もあったのね。

「しかし、スーパーのお姉さんは複雑な顔で見てたな。
里緒がお腹の膨らんでる葵の事をお母さんと呼びまくって買い物しといて、俺らのところに来ては、パパ、ママって呼ぶから。
どんな家庭環境なんだってね」

確かに。それと…。
カートを押す課長とすれ違う度、おばさまや奥様が殆ど立ち止まった事。
レジのお姉さんはお釣りを渡しながら見惚れてた事。
美形の課長と居ると、こんな事ばっかり…。
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