【続】興味があるなら恋をしよう
歩きながら自販機で缶コーヒーを買って渡された。

「勝手に買っちゃった。聞けばいいのにね。
はい」

ブラックコーヒーだった。
特に何を渡されたからと言って問題はないのだけど。

「すみません。有難うございます」


公園は割と近かった。
そこに座りましょうか、そう言われて、木陰になったベンチに腰掛けた。

「うちは直ぐ解ったの?」

あ…言ってもいいのかな。世間話って言ってくれてたし。

「クリニックの人が」

「あ、…しんちゃんね。背の高い、男の人?」

「はい」

「そう。貴方も背が高いわね」

「はあ。183くらいです」

「そう。…一条さんて方もね、高かったわ。
紬の会社の課長さんなんだけど。その人も素敵な人だったわ」

…よく知ってるって、言っていいのか、言った方がいいのか。

「…貴方もよく知っている人よね?」

…これは、鎌をかけられているのだろうか。
素直に知っていると応えた方がいいのだろうか。
課長は俺と解る事は話していないと言っていた。

「紬さんがお付き合いされている方ですね」

「ええ、そうね」
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