【続】興味があるなら恋をしよう
「藍原、荷物はもういつでもいいのか?」
頭を撫でられながらボーッとしていた。
「藍原?……藍原?」
意識もどこかフワッとしていた。
いきなり覆いかぶさるように抱きしめられた。
「あ、キャッ!」
「…もっとするか?」
囁かれた。
「あ、いやいや。滅相もないです」
はぁ、危ない危ない。
…笑ってる。
「荷物はって聞いたんだけど、返事が無いから。どんなだ?もう片付いたのかなと思ってな。手伝った方がいいなら手伝うぞ?」
「はい。大丈夫です。もう、詰めてあります」
「なんだ、そうなのか。だったら、もうこっちに運ぶか?」
あ…。
「家賃を、…あの…来月迄入れてあるので、何だか…。部屋を空にしてしまうのも、悔しいかなって」
「フ。まあ、解らんでも無いな、その気持ち」
「…はい」
「片付けてあるなら、もっと荷物を持ってきたらどうだ?今の生活スタイルは返って不便じゃないか?俺はいつでもいい。早めだと、尚、嬉しいかな」
藍原が居る場所が、ここしか無い方が心配が無くて済むんだがな…。
「はい」
「一度で車に載りそうなくらいかな?」
「んー、多分。んー、課長の車だと…2回分くらいですかね。んー」
「フ。段ボールの大きさと数を教えてくれたら解るから、数えておいてくれるか?」
「あ、…はい」
ハハ、そうですよね。数さえ解れば話は早い…。玄関先迄、出して置かないと。
「あれだな。鍵を預かれるなら、俺のタイミングでいつでも運べるけどな?」
それは…。
「あー、スペアが無けりゃ無理な話か。知らない男が荷物を運び出してるっていうのも怪しいかなぁ。ま、藍原と一緒に行った方がいいか。それが無難だな」
「はい、そうしてください」