【続】興味があるなら恋をしよう
振り返った顔に、引き込まれるように、随分と余計なおしゃべりをしてしまったわ。
惹かれるという感覚、解るような気がする。
男前の顔に、というのでは無く、持ってる雰囲気に。
紬…。
会ってはいけない人に出会ってしまったのかも知れないわね。
それがいい出会いになるなら、紛れもない、幸せになれる運命の人。
タイミングがずれてしまったら、一生忘れられない運命の人…。
…そんな人ね…。
二人の間に何も無くても、そんな人。
持っている運命、引き合うモノはどうにも出来ないもの…。

そんな運命になるようなタイミングで、あの子を産んでしまったという事かしら。
それとも、親の運命を引き継いでしまったのかしら。
だとしたら、私の持っている情念のDNAという事かしら。
…ごめんね、紬。
貴女には一生言えない秘密があるのよ。

お父さんは知っている。
でも、何も言わないでいてくれている。
この先、紬が一条さんと結婚しても、一条さんにも言わない。

でも、紬の運命の人。
あの人には話しておいた方がいい。
あの人はきっと、ずっと紬を見ていてくれる、そんな人だから。

きっとまたうちに来てくれる。
確証は無くてもそんな日が来る気がする。

どんな形になっても、紬を見守ってくれる人に間違いないもの…。
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