【続】興味があるなら恋をしよう
カチャカチャ、ガチャ。

「藍原ー!!」

「は、い。お帰りなさい?」

は、…。居た。本当に居た…。

「藍原、心配した…」

「あ、ごめんなさい。私、こんなつもりじゃなかったんです。自分の部屋に来たんです。…わざと鍵、忘れた訳じゃないんです。本当にそそっかしくて…」

「…解ってる。取り敢えず、抱きしめさせてくれ」

「え?」

「安心したいだけだ…」

あ…。がっつり抱きしめられた。

「はぁぁ、無事で良かった…」

「そんな、大袈裟な…」

「馬鹿。こんな夜更けに、ウロウロ出歩いて、歩いている時に襲われたらどうするんだ。
俺に連絡がつかなかったら…」

「無事、着いてましたよ?連絡もつきました」

「そうだけど。はぁ…、それはどっちも結果論だ!…鍵、無かったくせに」

「それは…、ごめんなさい」

「あ、なんか…ご飯の匂いがするな」

「あ、はい。勝手に、ごめんなさい。お米があったから、炒飯、作ってしまいました。あと、お風呂も勝手に準備しちゃいました。…お礼というか」

はぁぁ。藍原…。

「…食べてもいいのか?」

「はい。…嫌でなければ」

はぁぁ。…もう。

「食べる。食べるに決まってる。有り難く頂かせて貰う」

「はい。お水、出しましょうか?」

「あ、ああ」

藍原…こんな事、やり過ぎだよ…。


「…旨いよ」

「そうですか〜?良かった〜」

藍原は、玄関で暴れるように脱がれた俺の靴を揃えて、ほうり投げた鞄を手に戻って来た。

「あの…、部屋の鍵。私の部屋の鍵は?」

「…もう、無い」

「…え?」
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