【続】興味があるなら恋をしよう
「藍原…自分に出来そうもない事は、別人格を作り上げてしようとしても、無理な事だ。
心が壊れて終う。
出来る人間と出来ない人間が居る。藍原は出来ない人間だ」

…。

「抱きしめてください」

「はあ?」

「ソフレですよね?抱きしめてください」

この流れでそんな事…。
…俺は。藍原を思う気持ちが強いくせに、藍原から言われると、いつも、素直に同意しない。

やっぱり、一線を越えてしまいそうで、恐いんだ。
おちゃらけて抱きしめる事は簡単にできても、真剣なモノは恐いんだ。
多分、止められなくなるって解っているからだ。

好きな女を心から抱きしめておいて、その先しないなんて、有り得ない…。俺は男なんだぞ。

…同時になってしまっただけだ。俺も、課長も、藍原と付き合うという事が被っただけなんだ。

例えば、学生の時、誰かと付き合って終わって、また別の人と付き合う。
そのズレみたいなモノが無く、かち合ってしまったようなモノなんだ。
…駄目だ、…なんて屁理屈だ。
これを理由に、出来るか?

…奪うなら奪ってもいいって課長は言った。
藍原次第だって。
恋愛にハプニングは付き物だって。

…だけど、もう、これだけ考えたら、衝動的にもなれない。

…何も考えない。
抱きしめてみるか。
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