【続】興味があるなら恋をしよう
「母さん…」
「はい?」
「どう思う?」
「…紬の事ですか?」
「うん…。本の最近までの事じゃないか。居もしないのに付き合ってる人が居るって誤魔化してたのは。それが会わせたい人が居るって言って来たかと思ったら。突然都合を聞いて来て、もう挨拶に連れて来て。相手は上司だというし。
本当なんだろうけど、話が上手く出来過ぎていて。何だか疑いたくなる俺の気持ち、解るよな?」
「はぁ、……フフ、そうですね。急は急でしたね。しかも、連れてきた人が課長さんで、あんな素敵な人って、有り得るのかしらとは思ってしまうけれど…」
「そうだろ?何で急にそんな間柄になったんだろうな。やっぱり…紬に上手く騙されてるのかな、俺らは」
「それは無いと思いますよ。次に帰って来る時は、本当の彼を連れてじゃないと帰って来ないって言ってましたから」
「う、ん…。本当に好きなのかな」
「え?好きでしょ?好きじゃないのなら、一緒に来る事なんかないんだし」
「…100パーセントで好きなのかな」
「ぇえ?どういう事ですか?」
「うん…。どこか迷いがあるんじゃないかと思ったんだがな…」
「あ…まだお付き合いの日も浅いようですし。これからって部分もあるんじゃないかしら。雰囲気は良かったじゃないですか」
「う、ん…」
「お相手の方、一条さんは、ありがたい事に、紬にぞっこんって感じに見えましたけど」
「うん…。そうだったな。それはいいんだ。本当…有り難い事だけど…」
歯切れが悪い訳は私にも解る。紬は確かに幸せそうには見えた。見えていた……。
でもね、あなた。
結婚は自分の思いよりも、男の人の愛が強い方が幸せって事、あるんですよ。ずっと大切にして貰えますから。きっと、紬はそう考えて決めたのだと思いますよ、結婚するならこの人だって。
…。
「大丈夫ですよ。無理に勧めたお見合いとは違います。自由な状態で、自分で決めた事ですから」
そう決めた責任は、自分にあるんですから。
「う、ん…」