【続】興味があるなら恋をしよう
「藍原さ〜ん。気が付いた?気分はどう?よく眠っていたわね。も〜、睡眠不足は駄目よ?あと、あまり無理をしても駄目よ?」

「え?」

仕事の事だろうか。多分、私はピンときていない、よく解らない、そんな顔をしていたのだと思う。

「ご主人…、一条課長にも言ったんですよ。新婚さんだから、沢山愛されて当然でしょうけど、…程々にね」

「…え?あ、いや、そんな…」

なに?…だから、それで睡眠不足だって言われてるの?
…そんな。
新婚で倒れたら、みんな言われるのかしら…。…意地悪じゃないの?

「一条課長にも言ってあるけど、なるべく早く検査に行った方がいいと思うの。
物凄くデリケートな事だから」

「…え?はい?」

デリケートな事…?

「はい?最近、生理は?遅れてるなんて事は無い?」

「え、…え?…ぁ」

………あ…。

「そう。思い当たった?
もしかしたら、赤ちゃん、出来てるかも知れないでしょ?だって、ね?
可能性が無いとは、言えないでしょ?どう?とにかく検査に行ってみて?」

「あ、は、はい…」

…検査。…妊娠…。

「じゃあ、そのまま横になって休んでて。
私は午前中で帰るけど、ダーリンが迎えに来るまで居てくれていいから」

ダーリンて…。
それより…先生、…課長の事、好きなのかな。
若い産業医は、白衣をお洒落の一部のように羽織り、赤いピンヒールに香水を漂わせていた。以前倒れた時も確か…坂本さんに、ベタっと寄り掛かるようにして話していたような…。
そう、まだ坂本さん、来たばかりの日だったから、…アピールしてたのかな。
無類のイケメン好き、といったところかしら…。
…結構、毒突いているかも、私。

妊娠…本当に……妊娠してるのかな…確かに、…言われて見れば遅れてはいるけど。
いきなり強い目眩がして倒れたからって事?だから、妊娠を疑えって?
あんなに、人の…私生活の事を遠慮なく想像で…よく話せるものね…。
…否定も出来ないけど。

若い子に、知ったような事言われたくないわ…。
でも私、ちっとも妊娠の初期症状みたいなもの、知らない…気にはなっていたけど。

このままでは駄目よね。勉強しておかないと。
…課長と一緒になったのだから、もっと早く気にして勉強しておかなきゃいけなかったのに。

課長…。だから、あんなに過保護な事を言ったんだ。
気を付けないと…もしそうなら、そそっかしく転んだりしないようにしないと。

…妊娠。…。でも…。………それは……。
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