君の花火


転校生が男の子だってことを、知らなかったクラスの男子が叫ぶ。
また教室が騒がしくなった。
女子はかっこいいだとかそうでもなくない?とか見た目判断に入った。


「今日からこのクラスの一人になる、広瀬春樹君だ」


広瀬、春樹…。


「結構かっこいいわね」
「女子がよかったわ」
「まあまあ…あたしらの席と近いんだし、仲良くしようよ」
ほほうと頬をさする麗ちゃんにガックリと肩を落とす健ちゃん。
隣の佑都は興味がないのか、本を読んでいた。


「広瀬の席は五十嵐の隣だから。何かあったら五十嵐に聞け」
「はい」
「じゃ、1限の準備しとけよ~」
そう言ってシバ先は教室を出て行った。


また一段とうるさくなった教室。
教卓のところでは質問攻めに合っている広瀬春樹。
時々笑う姿に、あたしは一番後ろの席から眺めているだけ。


「向夏、あんたちゃっかりシバ先の雑用押し付けられて」
ドンマイとでも言いたいんか、麗ちゃん。


「はっ、ざまあ」
「うるっさいわ。笑わんといて」
「困ったことあったらちゃんと言うんだよ?」
「麗華なんかに言ったって頼りにならんだろ」
「なんて言った?」
「事実や」
あ、始まった。健ちゃんと麗ちゃんの口喧嘩。


「お前らうるさいわ」
佑都…眉間に皺が…。


このふたりを止められるのは佑都しかいないのがね…。


佑都もご苦労さんなこった。


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