糸
糸
…………
ゆうは、幼なじみのりっちゃんの前に、小指をピンと立てて突き出した。
「ゆうちゃん。どうしたの?」
「りっちゃん、見えないの?
ほら、小指についてる赤い糸だよ。」
「そんなの見えないよ?」
「りっちゃん。この先っぽどこに繋がってるか見に行こうよ!」
「くねくねしてるー」
「あ、ここ曲がってるね」
「あっちにいってる!」
「先っぽは…
あれれ、ゆうのとりっちゃんの、繋がってるよ!!」
「え、ほんと!?」
「うん!きっと、ゆうとりっちゃん、“運命の人”ってやつなんだよ!」
「運命の人?」
「うん!運命の人とはね、結婚するんだよ!」
「じゃぁ、ゆうちゃんとりく、結婚するの?」
「うん!だってね、ゆう、りっちゃんの事好きだもん…」
「りくもゆうちゃん好き!」
「りっちゃん、ゆうを幸せにしてね!」
「うん、絶対するよ!」
…………………
「まさかねぇ、こんなに若いのに亡くなるなんて。」
「あれが奥さんらしいよ。」
「幼なじみだったんでしょ?」
「可哀想に…」
ねぇりっちゃん。
私を置いていかないでよ…
約束、守ってよ…