魔法使いの危機
指輪が光るのをやめた時
すでに部屋中に広がっていた炎は
跡形もなく消えていた
まるで最初から燃えていなかったように

他の部屋で見ていたメディックはあわてて
この部屋に戻ってきた

戻ってくるや否や真っ先に優翔の心臓を
隠し持っていた短剣で突き刺した
優翔はその場に倒れ呼吸も止まった


「うそでしょ
 あなたが死んだら私はこれから
 どうすればいいの
 ねえ早く私の名前を呼んでよ
 何を泣いているの睦月って」

優翔を抱きかかえたまま睦月は
その場に泣き崩れた


そして再びすきを突いて緋優を狙った時
緋優の前には光の壁が出来た
光の壁に触れた短剣は炎が消えた時と
同じように跡形もなく消えた
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