プロポーズはサプライズで
*
そんなわけで、終業後、十一月も終わりの北風に吹かれながら、私は約束した居酒屋に入る。
「川野、こっちこっち」
私を見つけるなり、さわやかな笑顔を見せて笑うのは現在舞台俳優である三笠くん。アニメ大好き特撮大好きのオタク仲間ではあるものの、この人がイケメンであるがゆえにどうしても同じ世界の人間だという気がしない。
「国島さんは?」
「もうちょっと仕事。先に食べてろって」
「ふうん。仲良くやってんだな、川野」
「まあね」
「俺のお陰かな」
「……まあ、半分くらい?」
話せば長くなるけれど、この三笠くんは私の親友・明日美の彼氏で、私の初恋の人でもある。
まだ高校生のころ、三笠くんが明日美に好きだと言ったとき、明日美の背中を押したのは私だ。お似合いだと思っていたし、自分がそこまで引きずるなんて考えてもいなかったから。
でも実際、それから約十年。アニメキャラで萌えが満たされたこともあり、私はずっと独り者だった。
明日美はそれを気にしていたのだろう。
数年前に三笠くんからプロポーズされたとき、『八重ちゃんに彼氏ができたらね』と答えたのだという。
そんなこと爪の先ほども知らなかった私は、のほほんとアニメキャラにハマりまくり、ふたりの間が進展しないことにも疑問を持たずに、三人で遊んだりしてた。
でも、国島さんが転勤してきて、振り回されている間に三笠くんへの気持ちも言い当てられて、彼に背中を押されて、私は過去の恋愛を吹っ切ることができたわけだ。
そしてまあ、なんだその、国島さんがいわゆる初カレになったというわけ。
そんなわけで、終業後、十一月も終わりの北風に吹かれながら、私は約束した居酒屋に入る。
「川野、こっちこっち」
私を見つけるなり、さわやかな笑顔を見せて笑うのは現在舞台俳優である三笠くん。アニメ大好き特撮大好きのオタク仲間ではあるものの、この人がイケメンであるがゆえにどうしても同じ世界の人間だという気がしない。
「国島さんは?」
「もうちょっと仕事。先に食べてろって」
「ふうん。仲良くやってんだな、川野」
「まあね」
「俺のお陰かな」
「……まあ、半分くらい?」
話せば長くなるけれど、この三笠くんは私の親友・明日美の彼氏で、私の初恋の人でもある。
まだ高校生のころ、三笠くんが明日美に好きだと言ったとき、明日美の背中を押したのは私だ。お似合いだと思っていたし、自分がそこまで引きずるなんて考えてもいなかったから。
でも実際、それから約十年。アニメキャラで萌えが満たされたこともあり、私はずっと独り者だった。
明日美はそれを気にしていたのだろう。
数年前に三笠くんからプロポーズされたとき、『八重ちゃんに彼氏ができたらね』と答えたのだという。
そんなこと爪の先ほども知らなかった私は、のほほんとアニメキャラにハマりまくり、ふたりの間が進展しないことにも疑問を持たずに、三人で遊んだりしてた。
でも、国島さんが転勤してきて、振り回されている間に三笠くんへの気持ちも言い当てられて、彼に背中を押されて、私は過去の恋愛を吹っ切ることができたわけだ。
そしてまあ、なんだその、国島さんがいわゆる初カレになったというわけ。