プロポーズはサプライズで
「……俺も正直安心したかな」
「国島さんが? どうしてですか?」
国島さんは目を泳がせて、言いたくなさそうに苦虫をかみつぶした顔をしつつ、やがて諦めたように息を吐きだすと、熱っぽい目で私を見つめた。
何その顔、ヤバいんですけど。
ドキドキして、心臓まで疼いてきた。
「人の趣味に口出す気はないが、さすがに電話して『今アニメ鑑賞中なので後でかけます』とか言われたらさすがに俺ってなんなんだって気になるだろう」
そうか?
私的には、アニメ時間に電話とかありえないんですけど。しかもあの時のアニメ、大ハマり中のドリーム探偵だったし。
「そのくせ、三笠くんの舞台になれば喜々としてスケジュールは開けるわ、チケットは二回分買うわで。こいつ本当に三笠くんに未練ないのかって疑うのも仕方ないと思うんだがどうだ」
冷静に言われると、確かに私って酷い。
いや、でもさ。三笠くんに対してはもはや戦闘ヒーローを見てる感覚に近いし。
一般的に考えて、私が国島さんに振られるならわかるけど、逆はあり得ないじゃん?
そこは自信もってもらってよかったんですけど。
「アニメや小説はいいんだ。所詮お前に触れられるもんでもないし、負ける気がしないから。ただ三笠くんはさ、生身の人間だから気になるんだよ。いい加減、他の男にかっこいいとかいうの止めろ」
「だっ……」
口ごもったら、国島さんが急に「あー」と叫んで頭をかきむしった。