プロポーズはサプライズで
「そろそろ起きれるか?」
「あ、はい。余裕です」
国島さんに言われ、慌てて起き上がる。
その目の前に黄色の花束が差し出された。
「やるよ。騙した詫びだ」
「え、でもこれ、明日美に渡すやつじゃ……」
「違うよ。これはもともとお前をイメージして作ってもらったんだ」
差し出された黄色の花束。ふわりと清々しい香りがする。
「付き合い始めたばっかりだし、まだ先のことは分かんねぇけど、ま、これからもよろしく……ってやつだ」
「は、はあ」
顔中に一気に熱が集まってくるみたい。
お花もらう?
私が?
ああもうほんと、国島さんといると人生で初めてのことがたくさん起こる。
「……アリガトウ、ゴザイマス」
「なんで片言なんだよ」
だって、素直に嬉しがるには、ちょっと恋愛スキルが足りないみたい。
好きだって言われたり、やきもち焼かれたり、お花もらったり、本当に今までされたことないの。
私、今まで自分が誰かの一番になることなんてなかったんだよ。
答えに詰まって、花束の中に顔を埋める。
そうしたら、天の助けのように、会場の人の声が聞こえた。
「すみません、そろそろ閉めたいんですけどー」
「もうそんな時間か。片づけて帰ろっか」
「う、うん」
私は起き上がって座布団をまとめた。
そういえば今何時なんだろう。途中で倒れちゃったから時間間隔が狂っちゃってた。