プロポーズはサプライズで

 プロポーズ大作戦を三日後に控えたその日、俺の携帯に、三笠くんから着信があった。


『国島さん、仕事いつ終わるのー。一緒に飲まない?』


君は俺の彼女か。
実際の彼女からこんなかわいい誘いなど来たことがないというのに。


「そうだな。もう三十分もすれば出れると思うんだが」

『じゃあ、国島さんの会社の近くまで行くから、終わったら電話ください。ちょっと話しておきたいことがあるんで』

「ああ。近くに【アケビ】っていう飲み屋があるから、そこで待っててくれるか?」


電話を切ると、ちょうど書類を持ってきていた稲葉が、にやにやと笑う。


「国島さん、彼女?」

「……いや」


そうだよな。明らかに今の会話はカレカノっぽかった。


「国島さんモテそうなのに彼女いないんすか」

「いや、それも違うけどな」


俺の彼女はお前の隣の席の川野八重だよ。
言えばこいつは驚くんだろうな。
隠しているわけじゃないのにバレないのは、ある意味どうかしていると思う。

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