プロポーズはサプライズで

「どういう意味だよ。彼女が本気で君たちを祝福しようとしてるの分かってる?」

「分かってますよ。でも川野のやり方だと明日美に訴えるには弱いんです。明日美はまだ、川野と国島さんがちゃんと付き合ってるのか、疑ってますもん。川野、一緒に飲んだりしても全然国島さんの話してこないんだそうです」

「ちゃんと付き合ってるぞ……一応」


思わず弱気になる。ていうか、今の話は何気に俺もショックだよ。

確かに、押しまくっているのは俺の方だし、あいつにそんなに好かれている自信があるかと言われると……あんまりないかもしれない。


「ほら、国島さんだってちょっと不安なんじゃん? だからね、俺はここで確かめておきたいんです。作戦決行直前に明日美がさらわれたと見せかけて、揺さぶりをかけてみたいんですよ」


パニックになる八重が想像できる。

泣くだろ、多分。
それはそれで可哀想で俺的には見てられない。


「そこまでしなくても」


三笠くんはチッチッチと唇をとがられながら立てた一本指を横に振った。


「いやいや、ついでにはっきりさせときましょうよ。困ったとき、川野は国島さんと俺、どっちに助けを求めるか」


思わず言葉に詰まった。
自信をもって俺だと言えない自分がいる。

答えを返せなくなった俺を見て、三笠くんはふっと表情を緩める。


「意地悪してごめんね。でも俺も本気。今度のプロポーズでダメなら別れようって思うくらいには思い詰めてる。役者の世界で生きてるとさ、縁ってのが大事だなって思うんです。二度もプロポーズしてダメなら、縁がないってことだと思うし」

「でも好きなんだろ?」


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