プロポーズはサプライズで

「……でも結婚って一大イベントだし、この時ばかりは明日美が主役になってもいいんじゃない?」


 明日美が控えめで目立つのが嫌いなのも知っているけど、一応俳優としてそこそこ有名な三笠くんと結婚するってことはどうしたって目立たずには居られなくなるわけだし。それに観客って言っても劇団メンバーの身内だけでしょ? そこまで大々的ってわけでもない。


「むしろ変なやっかみされるくらいなら堂々との方がいいんじゃないかと思うんだよね。三笠くんの本気が伝われば、みんな納得するじゃん。私、みんなから祝福されてほしいんだよ」


 いつだって人のことを優先して自分を抑え込んじゃう明日美。三笠くんからのプロポーズを保留にしたのも結局はその性格ゆえだと思うんだよ。

これから先何かが起こっても、三笠くんの一番は自分だって明日美に自信を持ってほしい。だからこそ、みんなの前で三笠くんには頑張ってほしいわけで。


「明日美が周りからとやかく言われないように、びしっと俺には明日美だけって三笠くんに言ってほしいわけ」

「うん。まあ。……んー、分かったよ」


私が真剣だったからか、三笠くんはちょっと不満な素振りを見せつつ了承してくれた。

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