プロポーズはサプライズで
「じゃあ、大体の流れを想定してみろ」
ビールのジョッキをドンと机に置き、隣で仕事モードになっているのは国島さん。
「だから今言った流れですよ」
「相変わらず雑だな、お前は。今の流れってすべて成功した時の場合じゃないか。いろんな場合を想定しろっていつも言っているだろう」
「でも明日美の上に落とすのは、隣に座っている私ですし、失敗することなんてないですよ」
「その花束はどこに隠す気なんだよ。結構大きいだろ。カバンに隠れるようなもんじゃなし、どうやったって目立つ」
おっと、そういわれてみればそうか。
「そこはその……国島さんが持ってればいいじゃないですか」
「持っててもいいけどあからさまに不審じゃないかよ」
「三笠くんへのプレゼントだってことにすればいいじゃないですか」
「そういう花束って、開演前に受付に渡すだろうが。大体、初日ならともかく前日リハに持ってくか? しかも俺が三笠くんにとか絵面的にもおかしいだろう」
来たよ、上司モード。
この愚痴愚痴した言い方も嫌だけど、たいてい国島さんの方が正しいのが悔しいところだ。
「あーもー。分かりましたってば、もう少し考えます」
仕事が終わってからまで仕事モードで話したくない。とりあえず今日はここまで話詰めれればいいじゃん。