プロポーズはサプライズで

「じゃあ、大体の流れを想定してみろ」


ビールのジョッキをドンと机に置き、隣で仕事モードになっているのは国島さん。


「だから今言った流れですよ」

「相変わらず雑だな、お前は。今の流れってすべて成功した時の場合じゃないか。いろんな場合を想定しろっていつも言っているだろう」

「でも明日美の上に落とすのは、隣に座っている私ですし、失敗することなんてないですよ」

「その花束はどこに隠す気なんだよ。結構大きいだろ。カバンに隠れるようなもんじゃなし、どうやったって目立つ」


おっと、そういわれてみればそうか。


「そこはその……国島さんが持ってればいいじゃないですか」

「持っててもいいけどあからさまに不審じゃないかよ」

「三笠くんへのプレゼントだってことにすればいいじゃないですか」

「そういう花束って、開演前に受付に渡すだろうが。大体、初日ならともかく前日リハに持ってくか? しかも俺が三笠くんにとか絵面的にもおかしいだろう」


来たよ、上司モード。
この愚痴愚痴した言い方も嫌だけど、たいてい国島さんの方が正しいのが悔しいところだ。


「あーもー。分かりましたってば、もう少し考えます」


仕事が終わってからまで仕事モードで話したくない。とりあえず今日はここまで話詰めれればいいじゃん。


< 7 / 57 >

この作品をシェア

pagetop