天神学園の問題児再来
「トリックオアトリート!」

目の前で可愛くおねだりされるものの。

「…すまぬ紫陽花、俺は横文字は些か苦手だ」

この辺は大旦那に似たのか、真太郎は難しい顔をする。

「えー、お菓子くれないの?じゃあ…♪」

紫陽花はスススッと真太郎の背中に回り込む。

寧ろお菓子を貰えなくて嬉しそう。

「悪戯しちゃおっかな♪」

飛びつくように、真太郎の背中におぶさる紫陽花。

真太郎ほどの体躯ならば、紫陽花がおぶさってきた所でよろめきもしない。

が。

「お、おい紫陽花…学園内だぞ…皆が見ている…」

真太郎は人目の方が気になるようだ。

2人きりの場所ならば、一向に構いはしないのだが。

「ふふふ、恥ずかしい?照れちゃう?ならお菓子くれー♪」

真太郎を困らせるのが楽しいのか、背中でクスクス笑う紫陽花。

放課後に天神モールで、ハロウィン限定のトリプルアイスを奢らされる事になるのは、どうやら決定のようだ。

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