天神学園の問題児再来
「それで…」

花龍はもう一度、クッキーの入った袋を差し出す。

「これ、食べて頂けますか?」

「…今日は遅くなりそうだ。日が暮れる頃になると小腹が空く」

ヴラドは片手で、花龍の手から袋を受け取った。

「流石に学園でワインという訳にはいかんがな…その時にでも食う事にする」

「有り難うございます」

ふわりと、花龍が微笑みを浮かべる。

たかが菓子を渡しただけで、よくもこんなに嬉しそうに笑えるものだ。

いや…想い人とのやり取りというのはそういうものか。

真祖となって、久しく湧き上がる事のない感情だったが…。

クッキーの袋を無造作に机の上に置き、ヴラドは仕事に戻る。

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