天神学園の問題児再来
寸前で。

「!!」

狂奏丸が紅葉の斬撃を止めた。

直後に襲いかかる、鋭い川蝉の嘴!

タン!と床を蹴り、紅葉は距離をとった。

そこに立つは、二刀を携えた夕城流次期宗主の姿。

龍馬も、ほむらも、勿論紫陽花も庇い立ち、誰1人として傷つけさせはせぬという意志が、表情に表れ出ている。

「気に入らんな。その自信に満ちた表情が。たまたま生まれがよかったというだけで、僕のような才に溢れる者よりも恵まれた境遇にいる」

「生まれなぞ、己の努力次第で覆せる。何も与えられていなかったならば、己で1から築き上げればよい事…それを他人を妬み、恨み、あまつさえ奪い取ろうなどと…剣士の風上にも置けぬ」

「それはぬくぬくと生きてきた者の抜かす事!」

紅葉の斬撃が、走る。

その速度は高速を超え、まさしく人智を超えた速度、言うなれば神速!

縦横無尽に走る刃の閃きは線となり、結界の如く周囲を囲み、触れるもの全てを斬る包囲網となる。

その神技ゆえに、紅葉はこの技を聖歌の1つにちなんで、こう名付けた。

「われら神であるあなたを讃えん(テ・デウム)」

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