天神学園の問題児再来
「天使様!」

紗雪が六花を振り上げた。

その刃先から伸びるのは、枝分かれした幾本もの刃。

植物の成長を早回しで見ているかの如く、枝分かれした刃は禿鷲を絡め取る。

このまま絞め上げれば、全身に刃が食い込み、最悪輪切りにされる。

「手荒な真似はしとうないが、少々の傷は覚悟せい!」

そう言って、刃を絞め上げた紗雪は。

「なっ!」

いつの間にか絞め上げていた禿鷲の姿が消えている事に気付く。

また『いつの間にか』。

リプニーも、花龍も、紗雪も、しっかりと捕捉していた筈の禿鷲が忽然と消えてしまう事に、まるで狐に摘ままれたような感覚を覚える。

直後。

「戦いの場に女は邪魔だ」

そんな声が耳元で聞こえたかと思うと。

「きゃっ!」

「あうっ!」

「うあっ!」

リプニーが、花龍が、紗雪が。

見えない何かによって強い打撃を受け、宙に舞った。

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