天神学園の問題児再来
「剣を失い、仲間を失い…」

禿鷲が一歩前に出る。

「何、案ずるな。貴様が倒れる順番が入れ替わっただけの事だ、シオン=グリフィノー」

「っっっ…」

ヴラドの前に立ち、構えるシオン。

勿論、無手での戦い方も心得ているシオンだが、体術を専門とする禿鷲と互角に渡り合えるほどの実力があるかどうか。

「どれ、勇者の体術を見せてみろ!」

時凍えで襲いかかった禿鷲は、右ストレートを繰り出すシオンを掻い潜り。

「あがっ!」

シオンの腹にボディブロー!

更に首を摑んで片手で持ち上げ、高速の連打を胸板に、鳩尾に叩き込む!

打撃を受ける度に、血を、胃液を吐き出すシオン。

内臓にまでダメージを受けるほどの、強烈な打撃だった。

幾ら精霊憑依で身体能力を高めていても、無傷ではいられない。

「剣のない勇者などこんなものか。所詮は剣一辺倒に過ぎぬという事」

トドメとばかりに、禿鷲が大きく拳を振りかぶる。

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