天神学園の問題児再来
吸血鬼である自分を恐れもせず、忌み嫌いもせず、ただ無闇に血を吸う事のないよう、私の血だけを吸えと言った風変わりな女。

以後しばらくの間、あの女の血だけを飲んだ。

女が死なない程度に、また吸血鬼化しないように配慮しながら、吸血を続けた。

一時期、俺の渇きを満たすのは、あの女の血だけだった。

今も俺の体内を巡る血の大半は、あの女のものの筈だ。

…そうだ思い出した。

あの頃からだ。

俺が他者を気遣い、親愛を抱くようになり、この天神地区が住みよい場所だと定住するようになったのは。

成程。

俺の気性が変化したのは、あの女の血の影響か。

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