天神学園の問題児再来
「ほぅ…」

下駄箱の陰から、長身の男がヌッと姿を見せる。

ボサボサの黒髪、青白い顔、隈のある目、この季節には暑苦しいインバネスコートを着ていても、汗一つ掻いていない。

「授業では何度か見かけたが、こうして面と向かって話すのは初めてだな。夕城 真太郎」

「何を今更」

真太郎は真正面からその男…世界史教師、ヴラド・ツェペリに向き合う。

「授業中も真っ向から殺気を叩きつけておきながら、どの面下げて初対面を装っている」

「気付いていたか。満更ボンクラでもないらしい」

ヴラドの口角がつり上がった。

「そんな血の匂いのする業物を腰に下げられちゃあ、構いたくて仕方がなくなる…そうでなくとも、俺は『丹下病』に感染しているんでな」

「丹下病…?」

怪訝な顔をする真太郎。

「気にするな、こっちの話だ。ともかく」

ヴラドはインバネスコートの内側から二挺拳銃を抜いた。

「貴様に挑みたくて仕方がないという事だ」

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