天神学園の問題児再来
地面に転がるシオン。

大方の予想通りとはいえ、圧倒的だった。

ヴラドがではない。

シオンの強さがだ。

ヴラドにあんな出血をもたらした者は、嘗て天神学園にはいなかった。

やはり奴は勇者の息子だと、多くの生徒達が刻み込まれた決闘だった。

「シオン!」

真っ先に花龍が、その後龍馬、紫陽花、麗龍にシャンリーが駆け寄る。

屋上の真太郎も目が離せない。

「シオン、大丈夫?今シルフを召喚して…」

花龍が魔銃アルトゥルスを抜くが。

「へ、平気平気…」

ランスロットを支えに、シオンは立ち上がった。

「強いな、ヴラド先生…滅茶苦茶強い…」

だが、精霊憑依を解除してしまったシオンを撃たなかった。

あれを『憐れみ』ではなく、過剰に傷つけない為の『配慮』と受け取ったのは、シオンの勝手な思い込みか。

そういう心配りも出来る者なのだ。

世に言われているような吸血鬼とは違う。

花龍に求婚した男がそういう男であって、シオンは安堵する。

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