天神学園の問題児再来
「何故…そんな事を訊くんですか?」

質問に質問を返すのは無礼と知りながら、花龍は問い返す。

「何…」

ヴラドはニヤリと笑う。

「俺は吸血鬼だからな。策を弄するには相手の知識も必要なのだ」

「……」

悪ぶっているが、恐らくそれは真実の答えではないだろう。

花龍に向けた真摯な瞳が、その表れ。

だから、はぐらかす事なく。

「私は生まれた時から『早川 花龍』です。『ファロン=ユグドラシェル』ではありません。祖父母と共に、両親と共に、麗龍やシオンと共に成長してきました。捨てるも何も、ユグドラシェルは、私にとっては遠い世界の話です」

花龍はそう答えた。

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