天神学園の問題児再来
が。

龍馬がひたすらに巻藁に打ち込みを続ける横で。

「あれぇ、お父さん…」

稽古を見守っていた鳳仙花の隣に、やっと起きてきた紫陽花が近付いてくる。

高校生の癖にネグリジェとか着て寝るな。

「龍馬、もう『奥義』教えてるのぉ…?」

寝惚け眼を擦りながら言う紫陽花。

そう、龍馬は知る由もないだろう。

自らが繰り返し行っているこの打ち込みが、柾一刀流奥義の1つの布石であるとは。

「うん。龍馬君は1つの事を繰り返し行う単純な作業には向いている性格だから」

「つまり馬鹿って事だよねえ」

ケタケタ笑う紫陽花。

誰もそこまで言ってない。

「だから、彼に『蜻蛉の構え』は向いていると思うんだ」

< 213 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop