天神学園の問題児再来
振るうなど、とんでもない。

それが真太郎の結論だった。

正眼に構えるのもやっとの刀を、どうして実戦で振るえるものか。

「くそっ!」

両手で握り締めた川蝉を投げ出す。

地面に落とした川蝉は、金属音を立てて転がった。

重苦しい音がするでもない。

並の業物と同じ音だった。

特別、川蝉が他の刀より重く鍛えられている訳ではない。

刃幅も、肉厚も、拵えも。

何ら変わらぬ刀なのに。

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