天神学園の問題児再来
思い出す。

夕城邸を飛び出した雨の日の事を。

野犬を斬り捨てた時、狂奏丸は実に馴染んだ。

悦んでさえいるかのようだった。

肉を斬る感触、飛び散る血飛沫の臭い。

それらに狂喜しているかのようだった。

ならばあの時、鞘内に納められた川蝉はどうだったのか。

己にも肉を斬らせろと叫んでいただろうか。

血を吸わせろと吠えていただろうか。

川蝉ではなく、狂奏丸を使った。

その事に対する嫉妬で、この刀は真太郎に叛逆するのか。

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